現在、五和・ユウキ様原作のアントリューズ・オブ・エグゼキュシオンとのコラボ作品を製作中です。
一応、コラボがNEXCL本編の第3部の構成に組み込まれています。
現在、ノベリズムで公開している第2部は完結まで書き終え、2.5部の調整兼第3部の構成を検討しています。
AOEのシレディアがコラボコンパニオンになりますが、AOEとNEXCLでは世界感がかなり違うので取り巻く環境もかなり違っています。
よって、AOE本編では見られないシレディアの別の側面がNEXCLでは全開です。
決して、キャラ崩壊していません。五和・ユウキ様の許可は取っているのでそこは守っています。なので、AOEの原作ファンがいても「これはシレディアではない」とか言われても、わたしは公式返答で「記憶にございません」とか「承諾済みです」としか答えません。





そのような訳なので製作中の本編とイラストの一部を公開します。


下記から製作文章の一部抜粋





「そんな訳でこのウェッデルアザラシの赤ちゃんを連れて来たの」

「クークー」



 アリシアに懐いているのか、それともアリシアの声に反応しているのか、アザラシの赤ちゃんは嘶く。
 シレディアは初めて見るそれに困惑を覚えた。



「触ってみる?」



 アリシアは両手で抱き抱えて、シレディアの足元に置いた。
 近くで見るとかなり大きく丸いが、「クークー」と嘶きながら、シレディアにも擦り寄る愛らしい物体に抵抗は抱けず、シレディアはその頭を撫でた。
 アザラシの赤ちゃんも「クークー」嘶きながら、シレディアに為されるがまま、顔が地面に密着するように潰れていた。



「丸い……」



 それがシレディアが初めて、声をかけた言葉だった。



「クークー」



「そうだよ」と答えるようにアザラシの赤ちゃんも嘶く。



「お姉様はこの子をどうするの?」

「あぁ、わたしが管理している世界の1つに他の世界のわたしが集めた動物達を一緒に面倒を見る世界があるの。契約して、そこに送ろうかなって思ってる」



 そこには黒竜パーシヴァルやライトニングユニコーンの聖馬ユニオがいる。
 他にも管理しているその世界の魔王アリシアが集め、契約した動物達が増え、現在は700匹くらいの動物を管理している。
 強力な魔物とかではなく、アリシアに懐いた動物は大抵、そこで管理されており、かなりバリエーションが豊富だ。
 中には巨大ウツボ、大型サイズのタランチュラ、ゴッド・シルバー・スライム、異星の2角の白馬アールヴァク、スズメまでいる。

 どの個体も異種同士だが、互いに支え合っており、人間とも遊べるのでその管理しているエリアは一般公開されており、よく子供達が動物達と遊んでいるようだ。
 その話をアリシアから聴いたシレディアは更に困惑した。



「全然、想像できない……」

「あはは……なんか、ゴメンね」

「でも、賑やかそうなのが分かった」

「そっか。それなら良かった」

「それでその丸いのもそこに行くの?」

「そうだね。幸い、この世界はこちらからの送信なら受け付けてくれるから……この子の事を考えるなら、契約して送った方が良いね」

「ふーん」



 アリシアは慈愛に満ちた笑みでアザラシの赤ちゃんの頭を撫でる。
 アザラシの赤ちゃんは気持ち良さそうに為されるがままになり、頬ずりする。
 ただ、そんな中でもアリシアには別の考えもあった。
 シレディアに”好き”の意味を理解させるにはどうすれば、良いのか?と言う問題だ。
 概念を説明しても、それは概念だ。こう言った問題は感情なので体感して貰うしかない。

 だが、どうすればそれを理解して貰えるか、考えていたが、このアザラシの赤ちゃんとの出会いは丁度良い、きっかけになるのではないか……と考えていた。
 幸い、シレディアの態度を見るに何か思う所があり「ふーん」等と言う事を言っている顔と態度を見れば、分かる。
 それに《《彼女の保護者》》もそれを望んでいるようだ。



「シレディア……もし、良かったら、あなたがこの子を育ててみない?」

「えぇ、わたし?でも、この子、お姉様の子」

「いや、まだわたしの子ではないよ。それに流石に700匹もいると管理も大変だし、この子を預かるにしてもシレディアのような優しい人に預けたいなーって思うの。だから、あなたのその気があるなら、わたしを助けるつもりでやってみない?」



 本当は700匹だろうが、7万匹だろうが大差はないのだが、あまりシレディアに重荷を背負わせるような無理強いはしたくないのとシレディアの尊厳を重視して、ここは嘘を吐く事にした。
 とは言え、シレディアが世話をしてくれるならアリシアが助かるのは事実なので嘘でもない。
 シレディアはそれを聴いて、いつも通り無表情だったが、かすりに動きがあり「チャンス」と考えている節が見受けられた。



「うん。分かった」



 素直に快諾してくれた。



「じゃあ、決まりだね。神召喚術に類する契約になるけど、やり方は分かる?」

「アカシックレコードに載っている方法で良い?」

「それが分かるなら、問題ないね。それと今回はこの子に名前を与えないとダメだね。この子の母親が名前を与える前に死んだみたいだし……シレディアが良い名前をつけてあげて」



 本来、”神召喚術”による契約はその契約相手の”名前”を聴きだす事も契約条件に追加されている。
 正確には”名前”を把握した方が確実な契約を行い易く、妨害などのリスクが大幅に軽減されるのだ。
 このアザラシの赤ちゃんに名前が無かったのはある意味で幸いだ。
 シレディアが初めてを経験する上でこれほど難易度が低いモノもなければ、”名前”を与える事で”繋がり”や”縁”が強くなり、召喚時に妨害され難くなるのは勿論だが、ある意味で家族に近い関係性を築ける。
 シレディアはアザラシの赤ちゃんの額に右の人差し指を当てる。



「なら、名前はマルにする」

「なんで、マルなの?」

「ん?《《丸い》》から」



 シレディアらしい、素直で率直過ぎる名前だった。
 それにより、アザラシの赤ちゃんの体がシレディアの神力で輝き、変化した。



「クークー」



 こうして、アザラシの赤ちゃんは”マル”になった。



「よろしくね。マル」



 シレディアはマルを優しく撫でた。
 それから色々、慣れない事で疲れを覚えたのか、シレディアはマルを抱き枕にして眠った。
 どうやら、マルの送信は明日に持ち越されるようだ。



「む~。マルーモチモチ〜」

「クークー」



 2人の寝言を聴きながら、アリシアは微笑んでいた。
 そして、それを見ていた《《保護者》》にも声をかける。



「最善は尽くしたけど、これで満足かしら?《《テモワン》》」


 アリシアは眠っているシレディアの様子を側で見守っている体格が良く、白髪に黒が混じった鋭い眼光の男に向かって言葉を投げかけた。
 この彼こそ、シレディアの実父であるテモワンその人だ。

 奇しくも彼が死亡した時期とこの世界の異変の時期が重なり、彼の魂は天国にも地獄にも行かず、幽霊のように現世に留まりずっとシレディアの側にいたのだ。
 アリシアと出会った時には既にいた。
 ただ、まだシレディアにはテモワンは観測出来ない。
 まだ、実力が伴っていないのもあるが、こう言った霊感的な感性はどんな形であれ、死を多く経験しないと会得出来ないからだ。



「娘の事を気遣ってくれて感謝する。あなたと会えた事が娘にとって、最良であると確信できる」

「個人的には……あなたの変にチキンな所に多少、文句はあるけどね。親として娘と向き合って、人間らしい所を少しでも施そうと奔走して欲しかった。本来だったら、こんな機会に巡り合う事もないんですよ……わたしの言いたい事が分かりますか?」

「叱責されているとか……」

「違います。今からでも遅くないから、あなた自身がちゃんと娘に向き合えと言っているんです。「いつか、いつか」と問題を先送りにするから……シレディアは人並みの感情すら理解出来ていないじゃない。本来はあなたがどんな形であれ、教える義務があったんです。ちゃんと自覚して下さい」

「あ、はい。すまん……」



 まるで妻に尻を敷かれた夫の如く、テモワンはアリシアに萎縮していた。
 アリシアがシレディアの母親でテモワンがそこに並んだなら、側から見れば、親子夫婦のように見えたかも知れない。
 実際、テモワンは死んだ事と現世に留まった影響でアリシアが神である事を知認しているので余計に逆らい難い存在だった。
 妻に弱みを握られている時、並に恐ろしい。



「参考までにお伺いしますが、具体的にどうすれば、良いでしょうか?」

「とりあえず、わたしはもうシレディアに”好き”の意味をちゃんと理解させるから、そこは変更しません。その上でシレディアがいつか、嫁入りする事を受け入れて、あなた自身がその状態からそれをシレディアに伝えなさい」

「なっ!そんな、娘を他の野郎にやれと!」



 これにはテモワンも思わず、反駁した。
 男として、特に理由はないが、その事には敵意を覚えた。



「このままだと、シレディアは一生独り身じゃない。誰かと一緒に支え合って幸せになった方が良いです」

「いや、しかし……」

「覚悟を決めなさい。それに……今まで義務を放棄したあなたが今更、シレディアに口出しする権利は本来ない」



 それを聴いたテモワンは沈黙した。
 それを言われると何も言えない。
 アリシアがチャンスをくれるのはあくまでシレディアの為であり、その延長線にテモワンがいるからだ。
 本来はこんな機会する与えられない。



(せめて……一度くらい父親らしいところを見せるべきか……)



 テモワンは内心、思った。



「明日は多分、激戦になるわ。わたしも寝るから、あなたはそれまで娘に何を語るか考えておきなさい」



 そう言ってアリシアは仰向けに眠り込む。
 そして、眠りに落ちる最中、状況を整理する。



(色々、不確定要素が多いね……この世界の異変はテモワンが死んだ時期から発生している?わたしがシレディアと合流した時期だと思っていたけど、テモワンの魂のこの世界での固定値を見ると偶然とは言えないか……事件は紅蓮の女王の介入前から存在した?)



 様々な謎を抱えてはいたが、これ以上の事は分からないのでアリシアはメリハリをつけてしっかりと就寝した。



◇◇◇



本編ではこのアザラシがシレディアのパートナーの1人になります。
可愛いパートナーですが、それ以外にも重要な役割があります。
アリシアが何も考えずに与えた訳ではないのです。



◇◇◇



20220126_033833261_iOS




本編ではアリシア流新兵訓練キャンプが行われています。
当然、シレディアも巻き込まれる。
しかも、超ハードです。
教官がアリシアだから、仕方ないですね!(感覚麻痺してます!)